国税庁のタックスアンサーによると、消費税の納付税額の計算方法は、
消費税の納付税額 | = | 課税期間中の課税売上に 係る消費税額 |
− | 課税期間中の課税仕入れ 等に係る消費税額 |
である。
何年か前、会社の研修でこの式を知った。それまでは、個々の取引ごとの税額を積み上げて納税しているのだろうと漠然と考えていたが、実態はそうではないのだ。
これにより、輸出業で免税取引が多い事業者は消費税の納付税額がマイナスとなり、還付を受けられることになる。自動車メーカー等が多大な還付を受けていることはよく知られている。仕入と売上の金額が変わらなくても(事業として横ばいでも)、消費税率が上がれば上がるほど、還付は増えることになる。
消費税率は現在8%。それを10%に上げるにあたり軽減税率というものが議論されるようになった。その結果、
- 生鮮食品と加工食品を含む食料品(酒類、外食を除く)
- 新聞(!?)
が軽減税率の対象になりそうだ。この軽減税率を先ほどの消費税の納付税額の計算方法と合わせて考えると、今度は輸出業でなくても業種によって消費税の納付税額に差が出てくることになる。仕入と売上の税率が異なる事業者が発生するからである。
たとえば、新聞社は仕入10%、売上8%。わかりやすいように、仕入も売上も10,000円(儲けなし)とすると、消費税の納付税額は
- 10,000×8% – 10,000×10% = -200
となり、還付を受けられることになる。
逆に仕入8%、売上10%となる事業者(たとえば外食産業などがそうだろうか)の場合、
- 10,000×10% – 10,000×8% = 200
と、儲けのない場合でも納付しなければならない。
結果として、冒頭の輸出による還付と同じく、不公平な抜け道を増やすだけになるのではないだろうか。弱者対策ではなく、特定事業者に対する税の優遇措置になりかねない。